講演録第6弾「印刷の過当競争時代を生き抜く」

12.先進的な企業経営とパートナーシップ-1

今日多くの商業印刷の会社が従来の仕事がどんどん減っていく中で、厚紙印刷の分野であるパッケージへと向かっています。弊社が薄紙というジャンルに進む狙いは、前段でお話しした通り、多くの会社が向かっている先にビジネスチャンスが転がっているとはとても考えられないからです。そこで真逆にある薄紙印刷へと向かったわけですが、これがとても厄介な分野で、通常は15,000回転の生産能力のある印刷機械が5,000回転がやっとという状況です。しかし、こうした薄紙に対する潜在需要のあることが分かれば、後は打つ手を選びトライ・アンド・エラーを実行するだけです。

先程お見せした疑似特色の普及にもまだまだ多くの問題があります。まずはお客様に特色を使わずに印刷できる可能性を理解していただかねばなりません。そして常に安定した色を再現するには、利用技術を高めるために、印刷機械を完全に整備して安定稼働する基礎技術と基本技術が求められます。弊社では、この三大技術力の向上に取り組み、結果として、現在所有している14年目のハイデルの印刷機は最高回転13,000回転が今でも12,000回転から11,000回転で稼働しています。他にXL菊全判伸び4色機の印刷機械はポスター100枚でも18,000回転で稼働しています。

また分割印刷にとって重要な要素は、セット時間と予備紙をどれだけ減らせるかが鍵となります。現在セット時間は8分から15分、印刷の本紙予備を平均20枚で運用しております。パウダー量を抑えているのでヤレ紙は3回まで使用可能となっています。

弊社は常に進化し続ける企業でありたいと願っています。見学で来社されるお客様にはこのような日々の行動全てが、進化へ向けた活動になっていることをご覧いただきたいと思っています。薄紙への印刷も三大技術と応用技術を高めることで、特別な仕立てをすることなくハイデルベルグさんが限界としている0.03ミリメートルの用紙への印刷を可能にしました。現在それ以下の0.024ミリメートルという薄さにもチャレンジしているところです。