講演録第6弾「印刷の過当競争時代を生き抜く」

7.独自の事業領域を開拓-2

弊社はこうした無駄をなくすことこそが、これからの印刷業界に求められる役割だと理解して、世界で一番無駄を出さない、作らない、更にお客様には作らせない、そんな印刷会社にどうしたらなれるのか、様々な厄介な取り組みを行っているところです。

これを実現するためには、生産設備に対し、辛抱強く続ける基礎技術を磨きぬいたメンテナンスが欠かせません。弊社のSM102菊全判8色機は十四年目を迎えています。この度導入した印刷機械XL105菊全判伸び8色機マシンがその隣に設置されていますが、それと同等の動きと働きを今でもしております。マシンそれぞれのコストパフォーマンスの優劣はどこで見分けるのでしょうか。マシンが高い安いということも重要な要因の一つとなりますが、どういった使い方をして、どれだけの成果を達成し、どれ程の期間安定使用できるかということも、とても重要な要因だと考えています。印刷機械を単なる消耗品と捉えることなく、印刷会社にとっては信頼と、品質と、利益を生み出すビジネスの根幹となる価値の源泉と位置付けねばなりません。

このような考えにご賛同いただける皆さんとパートナーシップを構築することができたらと、ただ今企画しておりますことが、弊社とハイデルベルグさんとの共同企画で、印刷のプロを対象に現在弊社が行っている乾燥促進技術を学ぶ『マイスタースクール』の開校です。正直に申しまして、現在弊社と同じ技術を持っている会社が存在しないことから、外部に印刷の仕事をお願いすることができない状況です。これから仕事量が増えてまいりましたら、新社屋に加え、更に設備を導入しなければならなくなります。受注増と設備増を繰り返すのではなく、今からパートナーシップを組める印刷会社さんと技術交流を始める必要があると判断し、今回のマイスタースクールを企画いたしました。

新社屋ができて一年程が経ち、その間に約300社、延べ人員で800名ほどの見学者の方に訪れていただきました。その多くの方々が印刷業であり、工場を見学された後「当社もこうありたい」と言って帰られるお客様が大勢おられました。

そういったお客様も含め、このマイスタースクールで学んでいただき、これまでとは違う独自の事業領域を開拓する力を付けていただけたら、とても意義のあるスクールになるものと確信しております。