講演録第6弾「印刷の過当競争時代を生き抜く」

8.過当競争とはレベルの違うビジネスへ-1

ここに1冊のメモ帳があります。「印刷は将来何ができるようになりますか」日本印刷産業連合会で公募採用したコピーだそうです。お客様は我々にどのような新しい仕組みを望んでおられるのでしょうか。今まで誰も見たこともない、これまでの印刷とは大きくかけ離れた仕組みを、望んでいるのではないと思います。今ある仕組みにもう一捻り工夫をきかせることで、これまでと比べたら使いやすく便利になる、そんなシンプルな仕組みを求めるお客様が大多数だと思います。「印刷は将来何ができるようになりますか」の問いには、十人十色のチャレンジからより最適な答えが見つかるはずです。

私達は様々な機会を捉え、ビジネスチャンスを生み出そうと一生懸命努力をしています。ビジネスチャンスはどこにあるかと問われたら、皆さんは何とお答えになりますか。今多くの企業が向かっている方向に自社のビジネスチャンスもある、そのように思われる方はどれ程おられるでしょうか。私は常にそれとは逆の方向にチャンスがあると考えています。そして皆が向かう方向とは、真逆を向いた経営を常に心掛けたいと願っています。誰も目指さない未だ表に出てこない潜在需要がそこには必ず存在する。それを見つけ出し具現化することによって、過当競争とはレベルの違うビジネスへと事業を転換することができると信じています。この潜在する需要を見つけ出し、顕在化する努力なくして企業の未来は語れません。とは言いましても、「言うはやすく行うは難し」これはとても厄介なことです。しかし、厄介なところには必ずチャンスがあるのです。誰もがやれば利益が得られる、そんな甘い仕組みはいつの時代でもビジネスの世界には存在しないものなのです。お客様の要望に応えるために、それぞれが一生懸命に知恵を絞って汗を流し、どんな印刷物を作れば良いのかを真剣に考え、意見を突き詰めるからチャンスが生まれるのです。今こそ、十人十色の多様なチャレンジを行うことが必須だと感じております。