講演録第6弾「印刷の過当競争時代を生き抜く」

6.独自の事業領域を開拓-1

それでは、ネット受注(RiP)も含めたフレッシュプリントによる分割・更新型印刷のメリットとは何かを集約してお話ししてみましょう。1つに、分割でオーダーすれば支払いも分割になります。仕入れた印刷物がまだ眠っているのに、費用だけが先行して発生する資金運用の無駄がなくなります。2つ目は、営業マンが情報更新したカタログを持ってお客様のもとに再訪問することで、鮮度の高い情報提供が可能となることです。弊社が導入企業に行ったヒアリングでは、使う側(利用者)の利便性を考えたカタログ作りを行えると高い評価が得られています。3つ目に、更新時期になると必ず発生する余った印刷物の廃棄問題に対しても、従来の部数を圧縮し、分割印刷の都度情報更新を行っていますので、余ることはほとんどなく、ほぼ完全に使い切ることが可能となります。4つ目は、「少なく注文して余らせないは分かったが、注文を絞り込みすぎて足りなくなったら結局高い買い物をしてしまう」という不安の解消です。そんな不安には同一単価での補てんサービスが付いていますので安心してご利用いただけます。こうしたコストパフォーマンスと鮮度の高い情報提供が、導入企業様にとって今までにない業績を生み出す要因の一つとなったなら大変ありがたくとてもうれしい話です。

この「分割・更新型印刷」の仕組みは先程もお話ししたように、環境に大きく貢献できる仕組みであると感じています。印刷物はリサイクルすればまた新しい紙が作れるから無駄はない、そんな短絡的な話ではありません。印刷物を作る過程で使用されたエネルギーと一部の資材は全て無駄になり、他にも様々な無駄が発生します。こうした現実をどのように捉えるか、無駄になっても我々印刷会社には、売り上げと利益があるのだから敢えて問題視することはない。そんなふうに思われる方は、こうした考えや取り組みに対して、お客様から求めがない限り無視し続ける、結果対応の後手管理になるのではないでしょうか。いつまでもこのようなことを許し続けてくれる社会ではありません。我々印刷業はもっと真摯な態度でこのことを受け止め、今こそ業界全体で対処のあり方を真剣に考えねばならない時だと思います。