講演録第7弾「今 求められる未来への決断」

17.印刷の未来に楽観も悲観もない 「ただ失敗を積み重ね、前に進むだけ」

先程も申しましたが、納めた印刷物がどのように機能し、どういった役割を果たしたのか、事後の調査・分析・評価がとても重要になります。これを踏まえ今後は印刷物を作る前にそれを利用する利用者に向けて、ネットを利用して事前にデータ収集をする提案を行っております。利用するお客様がどんな情報をご覧になったか、データ収集と分析をして、その結果に沿った印刷物を作ることができたら、印刷物の機能価値を更に高めることができるのです。これは今までのやり方とは逆の方法です。

多くの印刷会社の経営者が印刷の未来に対し、仕事はどんどん減っていくし、今まで頂いていた仕事であっても、いつまでも頂けるという保障もない、更に価格競争に巻き込まれて、大変な状況になっていくと嘆いておられます。弊社もこうしたことに無縁とは言いませんし、やはりビジネスですから競合、競争は必ず付きまといますので楽観はできません。ですが、提供する印刷物の機能価値を高め、ご利用頂くお客様の満足も高める努力を必死になって行えば、印刷の未来に対して悲観することなどありません。未だ手付かずの分野は探せばまだまだあります。

しかし、それを掴み取る決断が必要です。経営者が必死になって知識を詰め込んでも、行動する決断ができなければ、今を変えることなどできません。頭で考えて分かったことと、実際に行動して理解することでは、その質と価値には大きな差が生まれるのです。失敗を積み重ねて前に進めばいいのです。

私は、あと4年もしたら、次の世代にバトンタッチせねばと思っています。次の世代が私の残した借金を、返済しなければならないことは変えようのない事実です。これを間違いなく返済する原資となる商品開発や、価値の連鎖を生み出す仕組みと仕掛け作りを、今のうちにしておかなければと思っています。ですから今、仕事を整理してでも、技術を養い、営業力を高める時間を作らなければと思っています。