講演録第7弾「今 求められる未来への決断」

16.多くの同業が向かう方向にチャンスはない

このような体制の中、弊社がこれから目指す方向は、低価格の仕事を沢山集めるコスト価値重視の分野からは撤退することです。この1月より料金改定を行いましたので、そうした仕事が入ってこない状況は既に作りました。空いた時間を活用して、次に繋がる技術開発を考えています。これは未来に向けた投資です。

新工場建設に着手する前年、2010年8月期の売り上げは5億4千万円でしたが、この年に8億円からの投資を行いました。金融機関には弊社の仕組みや考え方、そして将来のビジョンを以前から伝えておりましたので、予定通りに融資をして頂きました。その結果は2011年8月期6億7千万円、2012年8月期7億7千万円、そして今期2013年8月期は10億円に戻したいと考えています。

これまでの仕事をいつまでも抱え込むのではなく、新しい仕事を入れ込むためには、リスクを承知で整理が必要となるのです。今まで以上の売り上げと利益を確保するために、今までと同じことをやっていて、これまでと違う結果が生まれる訳などありません。価格はまだまだ下がる方向に進んでいるのですから、もっと状況は悪化するのではないでしょうか。武器を持たない営業は、この値段では競争に勝つことなどできない、自社の料金をもっと安くしてくれと言うのです。本当に競争する部分は価格しかないのでしょうか。そうではなく、これからは機能価値という武器で勝負しましょうよ。

そして、自社の営業が現在、何を武器として戦っているのか、観察されてみたらいかがでしょうか。弊社の営業は語り部(かたりべ)と言い、私は語り部の長(おさ)を務めています。語り部の名刺には「私たちは価値の実をお客様と共に収穫する会社です」と書かれています。価値の実とは利益です。お客様と共に利益を収穫したいと願っている会社なのです。