講演録第3弾「- そんな話聞いたことがない - だから非常識なのです」

8.乾燥促進印刷の副産物-4

松石社長 それでは最後の五分となりましたので、私どもの専門分野でありますCTPのところをもう一度おさらいさせていただきます。

1995年に日本でも早いうちからCTPを採用していますね。当時のサーマルのCTPというのはあんまり良くなくて、だいたいフォトポリマーという世界だったんですけど、私から申し上げるのも恐縮ですけれども、この地でありながらよく最初に新しい設備を導入されたなぁと。8色機も早々と入れられたみたいですけど、その勇気というか、やはり自信がおありになった?


吉田 自信はありません。ただ、これまでと同じことを延々とやっていても会社は変わらない。私は3代目なんですが、私が父から会社を継いだ時にあった設備は13年目の2001年には全てなくして、今はまったく新しい設備になっています。スクラップアンドビルドはしっかりやっていかないと会社の将来に悪い影響を及ぼすとの思いから、出来る限り誰がやっても同じ結果が得られる独自の仕組みを作りたいと考えていました。

これは設備力ではないんですよ。その設備を使って安定的な印刷物、誰がやっても同じ印刷が上がるというのが重要なところで、これは技術力なくしては出来ないんですよ。ボタンを押せば同じ印刷物が次々と仕上がってくるかと言ったら、決してそうではありません。ですから、効率の良い設備を揃えるということは重要ですけれども、それをどういう使い方をして、いかに早くシステムを安定させることが出来るかがとても重要です。更に、どういう材料を使うかという、材料を選択する基準も私は非常に重要だと思っています。


松石社長 その後、2002年にすぐCTPを入れ替えられてサーマルの現像ありのタイプを入れられて、2007年に現像レスが出るや否や早々に取り換えられて、今年になって全面的にアズーラという形なわけですけれども。


吉田 アズーラは、私はプロが使う版には最適と思っています。中には汚れが出るとおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、私は使い方が悪いか、あるいはマシンのメンテナンスの状況がまずいからそうなるんじゃないかと思います。

現実に、当社ではそういうことは全くなく刷れていますし、ユポ紙等も問題なく刷れています。今は、油性インキでインモールドユポが印刷できないかというテストを行っていて、この前行った時は問題なく刷れました。もうちょっと工夫をして、レベルの高いところでなんとか落ち着かせたいと思っています。