講演録第3弾「- そんな話聞いたことがない - だから非常識なのです」

5.社会と連動した全体最適-1

先程もお話ししたように、私どもの全体最適は、社会と連動した全体最適であるべきだと考えています。もはや、吉田印刷所1社の範囲だけの全体最適では物事が成り立ちません。

当社は機会あるごとに、「本当にこの部数をお作りになって宜しいんですか? ムダは発生しませんか?」と申し上げています。五泉市の広報の印刷も、先日市長にお会いした際に「広報を今までの部数作って良いんですか。今の若い人が紙よりも電子媒体で見るケースがあるのであれば、見ない分は作る必要はないのじゃありませんか。その分もっと別の形で予算を上手にお使いになったら宜しいんじゃないでしょうか」と申し上げました。

こんな話をすると中には、何を言ってるんだ、そんなことをやってたら私たちの仕事がどんどん減っていくじゃないかとおっしゃられる方がおられるかもしれませんが、私は決してそうではないと思うんですよ。

不要な物をたくさん作って、売り上げを上げる。ムダの中にも利益は含まれている。まずはその考え方から改めなければなりません。環境を重視する社会がそんなことをいつまでも許してはくれないと申し上げているのです。

この震災があって、3月11日以降、我々の業界でも様々なメーカーさんが、紙は今までのように潤沢には提供できません、インキもそうです。今後、様々な材料がこれまでのように流通しない状況になってますから、今までのように好きなだけ提供することは不可能になります。こうおっしゃったメーカーがたくさんいらっしゃいました。

しかし私どもの提案は、多くを一度に作ろうという話ではありません。これまでの「多く」の部分を小分けにしましょう、こういう考えでお客様と様々な提案交渉をさせてもらっています。そうなりますと、一度に大量には使いませんから、震災のあったこの夏も材料が足りなくなることはありませんでした。このような事例も含め、全体最適というのは、やはり社会と連動した形でなければいけないと思っています。