講演録第3弾「- そんな話聞いたことがない - だから非常識なのです」

4.シンプルな発想から生まれた乾燥促進印刷-3

乾燥促進技術に取り組み始め、漸く効果が出始めたのは2002年頃です。この当時の完成度は20パーセントぐらいでしょうか。更に完成度が上がり、80パーセントぐらいになったのは2007年頃だったと思います。この年にはリスクを覚悟して全てを無処理版に移行しました。

乾燥促進技術を使って印刷物のクオリティはどうなのかと、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、けっしてクオリティは同業の皆さんに劣るようなものではないと思っています。全てを無処理版に変えたのも、不安定要因だった現像工程をなくし網点の再現を安定化するためです。

何よりも湿し水を絞ることで、これまでの印刷で発生していたドライダウンによる濃度低下、パウダーの過剰使用による印刷面のざらつき感、及び透明感の欠如等の問題が激減しますので、印刷品質は向上することはあれ低下することは考えられません。

このような成果は、現場のスタッフがこれまで諦めることなく検証を何度も繰り返し、その都度事実を積み重ねた結果であり、パーフェクトとは言いませんが、十分満足できるレベルを作り出すことが出来たと考えています。誰でも簡単に出来るとは申しませんが、これにより、検証と改善を積み重ねていけば乾燥促進技術の確立は可能だと証明できたと思っています。

アグフアさんの無処理版を使わせていただいたのが2009年。今年の4月から6月の間に完全に入れ替えて、今は全てアズーラで印刷を行っています。

アズーラは湿し水が絞れますので、今まで使用していた版よりは当社にとっては大変扱い易い版になっています。現状はアグフアさんの版が一番だと思っていますが、それは当社の事情が反映されての一番だということです。皆さんが乾燥促進印刷をおやりになる時には、それぞれが抱えていらっしゃる事情や環境に合わせて、どのメーカーさんの版が最適かお考えになることが肝要かと思います。

一つの候補として、今日こうやって皆さんとのご縁を結んでくださったアグフアさんの版は試す価値は十分にあると私は思います。後程工場をご覧いただいて、アグフアさんの版でテストしてみようというお気持ちでお帰りになっていただければ、今回こうしてアグフアさんがご苦労されて本会を催してくださった甲斐があるのではないでしょうか。