講演録第5弾「今 印刷会社がすべきこと」

10.マシンの今が診断できる刷版「アズーラ」-2

松石社長 1995年フォトポリマー用のCTPを導入して、2002年にサーマル用に入れ替え、2007年に現像レスに全面移行され、私が3年前に営業と一緒にアズーラのセールスに伺ったわけですが、その時私が自慢げに「うちのプレートは検版できる現像レスです」と言ったら、社長が「検版できる、できないには興味はないし、当社で検版なんて必要ない」と我々の自慢すべきセールストークが一蹴されました。

吉田 なぜ、検版を必要とするのでしょうか。4枚の版を見比べて掛け合わさった色を理解できるオペレーターがいるのでしょうか。それが判らずしてどういう検版をするのかということです。当社のヤレ版率は平均0.5パーセント以下です。確かにアズーラを使って、見えないよりは見えた方が良いことは判りますが、しかし、以前は見えない版を使用していましたが、その時のヤレ版率は今と変わりがありません。出力後の検版では全てが後手になってしまいます。まずデータ上でチェックして、刷り出しの4色の色が付いた印刷段階でのチェックこそがなくてはならないチェックだと認識しています。

松石社長 吉田さんに新規セールスに行って「ところで幾らだ」といった金銭的な質問は一切なく、ご興味は「湿し水はどのくらい絞れるか」の1点でした。「湿し水が絞れるなら検討の余地がある」ということで、ならばテストをという状況でしたが、実は私どもの製品でありながら湿し水が絞れる事実や、その重要性さえも深くは知りませんでした。

テストの結果は、とても良いこれまでにない版ということでした。これをきっかけに、私どもの製品は湿し水が絞れるプロ仕様の版であると自信を持ったことを覚えています。

吉田 アグフアさんのプレートは、汚れるプレートだという誤解された評価がこれまで市場にあったようです。しかし、それは印刷機の整備や運用状況の不備を示している現象だと、説明されてみたらどうかと、営業の方に話したことがあります。アグフアのプレートは印刷のクオリティが上がるだけではなく、印刷機の状況診断もできる二重の利点を持ったプレートということです。湿し水が絞れ、自社のマシンがどういった状況なのかを即座に診断できるプレートは、使用する側にとって単なる資材を超えた品質管理ツールのひとつだと感じています。