講演録第5弾「今 印刷会社がすべきこと」

9.マシンの今が診断できる刷版「アズーラ」-1

松石社長 吉田さんではCTPを印刷機の横に持ってくることによって、印刷している方や、後工程を担当している方が、ごく当たり前にプレートの出力をしている。これは御社の仕組み全体が多能工化になっているということだと思います。それと吉田さんには機長さんがいません。機長さんがいなくても大丈夫なんですか。

吉田 当社に機長といった役職はありません。会社のマシン構成は全てハイデルベルグ機で統一され、オペレーションは8色機でも4色機でも基本はワンマンオペレーションです。3台のマシンをオペレーションするスタッフと、それをサポートするスタッフの4人でチームを編成しています。よってチームリーダーは存在しても、機長は存在しないのです。このチームリーダーもローテンションを組んで1週間くらいの持ち回りで交代をしています。

現在は2交代制ですが以前は24時間体制を4年程行っておりましたが、リーマンショック以降廃止しました。今は夜十時までの2交代の勤務シフトを2チーム体制で行っております。現在このフロアには刷版、印刷、製本の3つの部署を統合してできた生産部があります。古い8色機はある程度のジョブを処理するとブランケットの手拭き洗浄が必要となります。その際に印刷担当も含め八人が一斉に胴に貼り付いて拭き取り作業を行っています。多勢でやれば次のジョブに移るリードタイムも縮められますし、自分はこれしかできないではなく、多能工の技術を習得したスタッフには新たな戦力として、活躍できる場を与えることがとても大切だと感じています。

松石社長 百社訪問すると百社ともプリプレスとプレスは仲が悪い。印刷で何か問題が起きるとプリプレスが悪い、プリプレス側では印刷が下手なんだという議論が常にあります。これは他の部署の事情を知ることで問題点が改善されているように感じておりますが、そこのところはどうなんでしょう。

吉田 当社では仲が悪いというようなことはありませんが、それぞれの立場で問題提起は行っています。無処理版を採用したのが早かったために、刷版の問題なのか、それとも印刷の問題なのかがきっちりと判別できておりました。それは無処理版で網点劣化という問題が起こらないからです。よってその原因が刷版か印刷なのかは明確に判ります。もしそのような問題を未だに抱えているとしたら、早急に無処理版へ切り替えられた方がよろしいかと思います。これをクリアしないと互いの信頼関係を構築できない、不幸な状況がいつまでも続くと考えられます。