講演録第5弾「今 印刷会社がすべきこと」

8.メンテナンスは他人に任せるな-2

松石社長 工場の中に入りますと、印刷機の横にCTPが置いてあります。もし他で当社の営業マンが設置していたら怒りますよ。この印刷機の横に置く発想は社長の考えですか。

吉田 はい、印刷のフロアに囲いもせずに設置しているCTPはここだけだと思います。それだけブロッキング防止パウダーが少ないということです。パウダーが少ないということは乾燥が早いということです。ではパウダーは何のために必要なんでしょうか。ブロッキング防止のためです。セットが早まれば極少量のパウダー量で充分ということです。

当社はこの原則を徹底的に突き詰めて、どうすればブロッキング防止用のパウダーを減らせるのか、日々チャレンジし技術確立のための努力を積み重ねてきたということです。それには普段使っている様々な資材の見直しも必要となります。

その中でも一番重要なファクターはプレート(刷版)で、現在はアグフアさんのプレートを使用していますが、これまで様々なプレートを使用して行き着いた先がアズーラということです。このプレートに変えてからは、これまで以上に湿し水が絞れると感じています。先ほども話したとおりオフセット印刷の原理原則は、水とインキのバランスをどのようにコントロールするかが基本です。誰もが判っている当たり前のことですが、これを本気で突き詰めているかがとても重要なポイントだと思っています。様々な情報で頭でっかちになるのではなく、まずは今、どのレベルで印刷ができているか、正しい現状認識がなければ、チャレンジのスタートラインには立てません。

本日こうして貴重な時間とコストをかけて、新潟の五泉という田舎まで来てくださったわけですから、会社に戻られたらスタートラインがどの位置にあるのか検証してみてください。最初の一歩を踏み出しませんと、目指す目的地にはいつまで経っても辿り着けるはずなどありません。私が話していることは決して特別なことではなく、当たり前のことを当たり前に、積み上げてきたというだけの話しです。この中から何社かの会社が後日、当社と同じ状況になったという報告が聞けたら大変嬉しく思います。その折には是非ともビジネスパートナーとして、新規市場の開拓を共に行おうではありませんか。