講演録第1弾「非常識が未来を創る - パンドラの箱の真実 -」

8.売り上げの低下と借金

とは言いましても、全て順調に来ているわけではありません。これから話すことが皆様方を勇気付ける1番の話になるのではないのかなと思います。10年程前は10億円あった売り上げを、去年の決算は5億4千万円まで落としました。現在70名程従業員がおりますが、さすがに多くの利益が出るなんてことはありませんし、たぶん利益は出なかったでしょうね。たぶんというのは、この時期に雇用調整助成金をいただいていたからです。この制度は売り上げが下がっていれば条件を満たしますので、当社は申請できる。現在、東北の被災地の方では多くの企業が受給を受けているそうですし、皆さんの中にも受給されている方がいらっしゃると思います。私どもも2009年から2010年までこの制度を使わせてもらいました。

この当時、教育訓練を優先し、仕事を絞り込むことで、会社がどうなるのか、そんな気持ちで損益分岐点を見定めた時期でした。

結果、やっぱり5億4千万円では会社は維持できない。当然の話です。

これをやったから、このままではだめだ、今までと違う方向を目指し、他にない仕組みや新しい商品を早急に確立しなければだめだ、というこれまでにない強い気持ちが全社で芽生えてきました。

今回新社屋を建設し、この資料(講演で配布した会社概要)の最後にあります、ハイデルベルグのスピードマスターXL105菊全寸伸び両面8色機を導入いたしました。この後に七月にはポーラーの全自動の断裁システムを2セット導入する予定です。

それらは大部分借金ですけれども、ありがたいことに金融機関さんが「融資する」とおっしゃってくれました。私どものこれまでの経緯をずっと観察してくださっていたのでしょう。

「売り上げが下がった理由は何ですか」と問われましたので、今、皆さんに話したことを担当者に話し、上司や統括にも理解していただきました。「吉田さん、今がどうなっているかを常にお聞かせください」と、いわれましたので、「分かりました。お伝えします」と、お約束し、「今期はもう既に2割くらい売り上げはアップしていますし、利益もなんとか生まれるという状況まで回復しています」と、つい先日報告しました。