吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」2013年6月号《紙のおはなし(3)》

  • 公開:2013-06-03 23:26
  • 更新:
吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」2013年6月号《紙のおはなし(3)》

ライトプリント(ページ数を減らさず用紙を薄くする)

薄紙印刷へのチャレンジ・・・始まりはお客様の声からでした。

総合カタログなどは、取扱品目が多岐にわたるために、印刷物自体にボリュームがあります。原稿作りから、制作・編集を行うことも大変ですが、出来上がったカタログの運搬や、ご利用頂くお客様も取り扱いに苦労される場面があります。

それは、ずばり、「重い!」ということです。

そこで当社では、掲載内容を減らさずに済むよう、「紙を薄くする」ライトプリントを提案しました。カタログをもっと軽く、もっと手軽に。軽くて見やすいカタログは視認性が向上し、利用するお客様に即した印刷物と言えます。


ライトプリントの特長(薄紙のメリット)

【印刷】

従来薄紙への印刷は輪転機で、主に大部数印刷向けに行われてきましたが、当社ではオフセット印刷機で行うため、小ロットで薄紙への高品質フルカラー印刷が可能です。

【運搬】

紙を薄くすることで、印刷物の総重量が軽減され、10,000部印刷された場合には、トン単位の軽減となることもあり、運搬費用を大きく削減できます。

【保管】

紙が薄くなれば、重さだけでなく一冊当たりの厚みも減り、全体の保管スペースも小さくなり倉庫などの保管コストを軽減できます。

【持ち出し】

営業活動で日常的に使う場合も軽くて、持ち運びしやすくなります。

【閲覧】

厚さが数センチに及ぶような冊子の場合、取り扱いづらさから、閲覧を敬遠してしまうことはありませんか?閲覧されてこその商業印刷物。掴みやすく、取り扱いが容易になることも重要なポイントです。

【環境保全】

使用パルプ量・運搬重量が削減されることにより、CO排出量も削減することができます。


重量59.6%減に成功

ご相談いただいたお客様の事例では、紙の厚さを70.5kg(A判)だったものから27.5kg(A判)まで薄くしました。

結果として、重量は59.6%軽減されお客様のご負担を減らすことができました。


○薄い紙への印刷は難易度が高い

「紙を薄く」というと簡単そうですが、実は私たち印刷業にとって薄紙印刷は機械トラブ ルが起こりやすい「やっかい」なものでした。

薄い紙は紙と紙の間に空気が入りやすく、静電気を起こします。静電気が多いと、オフセッ ト印刷機で正常に紙をつかむことができずトラブルの要因となるのです。

また、薄い紙は水分を含むと普通紙よりも伸びが大きく、ブラック・シアン…と色を刷り重ねていくうちに位置 がずれてしまうなど、薄紙へのオフセットフルカラー印刷は難題とされていました。

○独自技術が実現した薄紙フルカラー印刷

まず「水分」ですが、通常のオフセット印刷には湿し水という水が使われています。湿 し水はたっぷり使えば印刷が容易になりますが、乾燥に時間がかかり生産性が下がります。 そのため、当社では以前から湿し水を極力使わない技術の研究を行っておりました。

水分が少なければ、インキの裏移りを防ぐパウダーも少量ですみます。これはインキの 過剰乳化を抑制することにつながり、印刷機トラブルを防ぐことにもなります。

品質と生 産性の両立を掲げ、研究を続けた末に、当社はオフセット印刷による「乾燥促進技術」を 確立しました。その結果、前述のような薄紙への安定した印刷が可能となったのです。


薄葉紙(うすようし)についてのおはなし

薄葉紙とは、紙の重さが非常に軽い薄い紙の総称です。

和紙では坪量(単位面積あたりの紙の重さ)が20g/m2以下、洋紙では40g/m2以下のものを指します(JISの規格では薄葉紙の和紙の坪量は40g/m2以下とされて いますが、辞典や辞書によれば和紙は20g/m2 以下と定義されている場合が多いです)。

薄葉紙の用途は様々で、種類も多くあります。右の表は、吉田印刷所で印刷を承っている薄葉紙の種類です。通常は輪転印刷機で印刷されることがほとんどで色数の制限などがありますが、吉田印刷所ではこれらを枚葉オフセット印刷機で刷ることができます。それにより、これまでは難しかった薄葉紙のカラー印刷を行うことができるようになりました。

表中のYPミストリーは2016年9月現在、印刷の対応をしておりません。ご了承ください。


スーパーライトプリント(極薄紙へのフルカラー印刷)

さらに薄い紙に印刷するために

乾燥促進印刷の技術をより向上させるため、段階的に紙を薄くしてオペレーターの技術を高めていきました。そして日々の積み重ねによって、枚葉オフセット印刷機では難易度が高いとされている、薄葉紙のような薄紙へ安定したフルカラー印刷ができる様になりました。当社ではこれを「スーパーライトプリント」と呼んでいます。

スーパーライトプリントは現在では超難関とされている薄さ0.024mm(25.8g/m2)へのフルカラー印刷ができるようになりました。尚、これは当社が使用している印刷機械のメーカーであるハイデルベルグ社が動作保証している0.03mmよりもさらに薄い紙に印刷できたことになり、技術力でメーカーが想定している限界を上回ることに成功しました。


スーパーライトプリントのメリットは?

例えば、薄紙の用途として挙げられるものに包装紙があります。

通常枚葉オフセット印刷機で薄紙の包装紙への印刷は1・2色程度の単色刷りのものが多いのですが、当社ではフルカラー印刷ができますので、ロゴをカラーにしたり、写真や絵画などのアート作品を取り入れることもでき、よりデザイン性の高い包装紙を作ることで、これまでの常識を超越したブランディングツールとしてご活用いただくことができます。

また、輪転機で薄紙のカラー印刷を発注しますと、数万枚の発注案件でないと対応してもらえません。これに対し当社の場合は、小ロット受注の実績がありますので、必要とされる数量でのご発注が可能でイベント用や季節限定の包装紙などにもご活用いただけます。


包装紙以外でも

薄紙は包装紙の他に約款・しおり・マニュアル・添付文書・能書類などでも使用されています。これらの印刷物は単色での印刷が多く、文字も小さくて読みにくいものが多いようです。

また、各自治体でもユニバーサルデザインを考慮した、わかりやすい印刷物作りを推進するガイドラインなどができ、企業側でも対応が求められるようになってきました。

当社ではこのような印刷物にフルカラーで対応することができますので、写真やイラストを使った視覚的説明や、色覚バリアフリーに対応した色選びなど、スーパーライトプリントを使うことにより、従来よりも分かりやすい表現で印刷物を作成することができると考えています。


本で紹介されました!


グラフィックデザイナーに人気の書籍『デザインのひきだし 17』(グラフィック社発行)に当社の薄紙印刷についてのコラムが掲載されました。

掲載について詳しく見る


編集後記

今回は薄紙についてと、当社の薄紙印刷の取り組みをご紹介させていただきました。薄紙への印刷は乾燥促進印刷の技術向上の副産物として生まれたもので、今後新しい商品として伸ばしていきたいと考えています。ライトプリントやスーパーライトプリントを選択して得られるメリットを実感いただけたらと思います。


「YOSHIDA TELLING」とは

吉田印刷所の印刷のことをはじめ、社会やお客様に対してどんな取り組みを行っているかをもっと知ってもらいたい、その想いから、吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」を制作しています。

TELLINGは「伝える」という意味です。

本誌を読んで当社へのご興味を持って頂ければ嬉しいです。

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