吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」2012年12月号《AM/FMスクリーニング》

  • 公開:2012-12-03 23:53
  • 更新:
吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」2012年12月号《AM/FMスクリーニング》

そもそも印刷って?

カラー印刷は4つのインキで出来ている

普段みなさんが目にする本や雑誌、ポスターなどカラーで印刷されているものには、シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)の4色のインキだけで印刷されているのをご存知ですか?この4色を合わせる事によりほぼすべての色を表現しています。また、金色・銀色・蛍光色といったものは特色といって独自の色を持っているのです。

一番多く使われている印刷方式「AM スクリーニング」

印刷は4色のインキと「スクリーニング」と呼ばれる写真やイラストを印刷で表現するための技法で行われます。実際の印刷物をルーペでよく見てみると、小さな点の集まりでできているのがわかります。この点の大小の変化によって、色の「濃さ」を表現しているのです。

このように、小さな点の集まりで色を表現しているのが印刷の技法ですが、この点の大小で「規則正しく並べて色の濃淡を表現している」のがAMスクリーニングと呼ばれる技法です。この方式は長年に亘り印刷業界で採用されており、今、私達の目にする印刷物のほとんどはこの技法で印刷されています。

やっかいでも理想に近い印刷方式「FM スクリーニング」

印刷技法のスタンダードであるAMスクリーニングはいくつかの欠点があります。印刷する絵柄によってモアレと呼ばれる縞模様のような模様が発生し、印刷業界の関係者を悩ませてきました。そんな悩みを解消するべく、「FMスクリーニング」と呼ばれる技法が開発されたのです。

FMスクリーニングはこれまでのAMスクリーニングの点の大小で色を表現するのに対し、大きさが同じ極小の点の粒子がランダムに配置され、色を表現します。この技法は色調の再現域を広げ、鮮やかな仕上りをもたらします。しかし、極小の点を扱うため、高度な印刷技術やそれを担う品質管理が必要とされています。

AM とFM の融合「ハイブリッドスクリーニング」

AMの持つ扱いやすさと、FMの持つ品質の高さの両方を兼ね備えたスクリーニングとしてAM・FMの長所を使い分け、最適な表現を行うのが「ハイブリッドスクリーニング」という技法です。この技法はFM印刷のやっかいな部分を補うために開発された技術です。

やっかいを克服するから印刷の可能性が見えてくる

しかし、このハイブリッド方式ではFMスクリーニングが本来もっている高品質という利点を100%発揮することができません。その原因を吉田印刷所では「再現不良を引き起す、印刷機械のメンテナンス不足」と判断しました。これを改善するためにこれまでのメンテナンス基準を見直し、強化することによって、今日FMスクリーニングの印刷を安定的に行うトータル技術の確立に成功したのです。吉田印刷所では時代の求める高度なニーズを具現化するために、日々新しい価値を探求しています。

※「AM」はAmplitude Modulation(振幅変調)の略で「FM」はFrequency Modulation(周波数変調)の略。ラジオのAM・FMと同じ意味で、印刷においても周波数が関係しています。

大切なのは日々の積み重ね

吉田印刷所は「価値ある印刷物」を造るためにハイスペックな印刷機をはじめとする各種マシンを揃え、これを駆使する技術力でお客様に様々な価値をお伝えしています。

業界でも一目置かれる当社の技術はそれを極めていこうとするスタッフの熱意から生まれています。もっと高品質に、もっと迅速に、もっとムダなく。そんな「もっと」の思いを実現させるために、常に新しい方法を模索し、チャレンジ精神を発揮しながら作業に当たっています。

当社の大きな特徴は、ユニークな技術を持つ印刷会社であること。設備が立派なだけでは、他社と同じになってしまう…。機械の能力を使う人に依存することなく点検やメンテナンスに最善を尽くし、常に安定した稼働を維持しています。この基本に徹した上で、さらに何ができるかという発想を持ち続けること、それが当社の技術の源にあります。

そうしたメンテナンスの徹底により造られる印刷物は先ほどお伝えした通り、小さな点の集まりで鮮明に再現されています。この点が少しでもズレて印刷されると色が変化したり、お客様の意図していない印刷物になってしまいます。そんなわずかなズレに対してもシビアに考え、常にキレイな印刷物を造ろうと日々努力をしています。この「美しさ」は技術力の証なのです。

独自でユニークな技術開発

従来は印刷の乾燥を早めるために、電力によるUV乾燥装置(紫外線乾燥装置)やIR乾燥装置(赤外線乾燥装置)などの強制乾燥装置が使用されてきました。

これらの装置は強制的にインキを乾燥させるために高エネルギーを必要とするため、稼働することで電力を多く消費します。更に、UV乾燥した印刷物はリサイクルの際に脱墨処理(印刷済みの用紙から印刷インキを除去する)が困難になるものもあります。

当社では印刷技術を高め「乾燥促進印刷技術」を確立し、このような電力による強制乾燥を行わなくても短時間で出荷できるようになりました。

こうした取り組みがこれまでの印刷の常識に捕われない新しい技術を生み出しています。

卓越した技術は新しい価値を生み出す

これは日々の徹底した機械のメンテナンスが実現する、当社独自の印刷技術です。印刷機械の性能を極限にまで発揮させることで当社は薄さ0.024mmという極薄紙への両面4色フルカラー印刷に成功しました。その名も「スーパーライトプリント」です。

私たちが普段目にする包装紙等、薄い紙には1色・2色で印刷するのが一般的です。ですが、写真や絵画、デザイン性の高い絵柄を包装紙に施すことで包まれる商品に新たな価値をプラスする効果を発揮します。

現在婦人服メーカー、生花店・花屋、和・洋菓子店、果物店などの他、グラフィックデザイナーの皆様からも多数お問い合わせをいただき、新たなブランディングツールとして注目されています。

参考:ティッシュペーパー(2枚1組)=約0.06~0.08mm(自社計測)


DTP用語集

トンボ(とんぼ)


トンボとは印刷物を作成する際に、仕上がりサイズに断裁するための位置や印刷時の見当合わせのため、印刷物の天地・左右の中央と四隅などに付ける目印のこと。一般的に天地・左右の中央に付けるものをセンタートンボ、仕上がりサイズの四隅に配置するものを角(かど)トンボと呼び、このほかにも印刷物の形状に応じて折りトンボなどが用いられます。



編集後記

印刷物がお客様に届くまでには様々な印刷技術が必要であり、今回ご紹介したスクリーニングはその中のひとつです。当社はお客様にいつでも「価値ある印刷物」をご提供できるよう、日々精進しています。お客様が当社をご利用になり、受け取った印刷物を見て私たちの印刷に対する熱意を感じていただければと思います。


「YOSHIDA TELLING」とは

吉田印刷所の印刷のことをはじめ、社会やお客様に対してどんな取り組みを行っているかをもっと知ってもらいたい、その想いから、吉田印刷所ニュースレター「YOSHIDA TELLING」を制作しています。

TELLINGは「伝える」という意味です。

本誌を読んで当社へのご興味を持って頂ければ嬉しいです。

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