Illustratorで複数のオブジェクトを選択してオーバープリントの設定を変更すると、非表示アピアランスが表示されてしまうトラブル(検証用データDLあり)

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Illustratorで複数のオブジェクトを選択してオーバープリントの設定を変更すると、非表示アピアランスが表示されてしまうトラブル(検証用データDLあり)
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概要

Illustratorのオブジェクトで、アピアランスの設定にて「非表示」になっているものと、他のオブジェクトを同時に選択したまま、オーバープリントの設定を変更すると、アピアランスの設定が変更され、「表示」の状態になってしまうトラブルについて解説しています。

このトラブルはアピアランスが「表示」だったものが「非表示」になる逆のパターンも存在します。


トラブルがわかりやすい例

まずはわかりやすい動画をご覧ください。

トラブルの実例

Illustratorで以下のようなデータを作成します。文字オブジェクトとパスオブジェクトが重なっているデータです。

Illustrator:データ


最前面にある文字オブジェクトの黒文字に白フチの文字のアピアランスは以下のように設定されています。

塗りと線のアピアランスだけでできています。

Illustrator:最前面にある文字オブジェクトの黒文字に白フチの文字のアピアランス


その他のオブジェクトは、線のアピアランスが「非表示」になっています。

Illustrator:その他のオブジェクトの線のアピアランスは「非表示」


全部のアピアランスを「表示」にすると以下のようになります。

Illustrator:アピアランスを「表示」にした場合


最初の状態でオブジェクトをすべて選択します。

Illustrator:オブジェクトをすべて選択


この状態で「属性」パネルの「線にオーバープリント」のチェックを入れると、以下のように他のオブジェクトのアピアランスが変化し、「非表示」だったアピアランスが「表示」されています。

このようなトラブルです。

Illustrator:「線にオーバープリント」のチェックを入れる



別の実例

先程と同じようなデータを作り、今度は、最前面の文字オブジェクトの塗りのアピアランスを「非表示」にしておきます。

Illustrator:最前面の文字オブジェクトの塗りのアピアランスを「非表示」


すべてのオブジェクトを選択します。

Illustrator:すべてのオブジェクトを選択


選択した状態のまま、「属性」パネルの「塗りにオーバープリント」にチェックを入れると、以下のように他のオブジェクトのアピアランスが変化してしまいます。

今度は「表示」だったオブジェクトが、「非表示」に変化しています。

Illustrator:「表示」だったオブジェクトが、「非表示」に変化


トラブルの原因

(z-)そよ風邪さん、ものかのさんの調べによれば、オーバープリントの設定をするときに、前面にあるアピアランスの設定が、他の選択オブジェクトに反映・伝染してしまうために、アピアランスが意図しない変化が発生していると考えられます。


発生状況を探ってみたところ、

  • 複数のオブジェクトを選択し、属性パネルのオーバープリントチェックボックスをクリックすると、前面オブジェクトの「アピアランスの線と塗り」の表示/非表示状態が、選択オブジェクトすべてに反映される。

こういうことだと思うのですが、どうでしょうか。

オーバープリントの変更でアピアランスで非表示になっているものが表示されます(Adobe Community)

トラブルの対処方法

「属性」のパネルでオーバープリントの設定をするときには、複数のオブジェクトを不用意に選択しないようにする。

「属性」のパネルでオーバープリントにするだけではなく、解除するときにも同じトラブルが発生します。印刷データの修正でオーバープリントをまとめて解除を行う作業も考えられますが、作業を慎重に行う必要があります。

(検証が完全ではありませんが「編集」メニューにある「カラーを編集」→「ブラックオーバープリント」の適用では、アピアランスが変化しないようです)


検証用データ

実際に検証できるデータをダウンロードできるようにしました。

Illustrator CC 22.1(いわゆるIllustrator CC 2018)で作成しています。

検証用Illustratorデータ(ZIPファイル)